
矯正治療の途中で抜歯が必要になるケースは少なくありません。
歯並びを整えるためのスペースを確保したり、噛み合わせのバランスを改善したりするために抜歯を行うことがあります。しかし、多くの人が心配するのが、
「抜歯後って痛いの?」「何を食べていいの?」「生活はどうすべき?」
という疑問です。
抜歯後は、傷口が落ち着くまでの期間をどのように過ごすかがとても重要です。
無理な行動をしてしまうと、治りが遅くなったり、痛みが増してしまったり、最悪の場合は炎症(ドライソケット)を引き起こす原因にもなります。
安心して矯正治療を進めるための“実用的な知識”が詰まった内容です。
矯正治療で抜歯をする理由
矯正治療では「できれば抜歯したくない」と思う方が多い一方、抜歯をする意味は明確に存在します。
スペースを確保するため
歯並びがガタガタになっている原因の多くは、
顎の大きさに対して歯が並ぶスペースが不足していることです。
この場合、無理に歯を並べようとすると前歯が前へ飛び出したり、噛み合わせが悪くなったりします。
抜歯によって歯の移動スペースをつくることで、
● 歯並びの改善
● 噛み合わせの安定
● 横顔のバランス改善
につながります。
噛み合わせのバランスを整えるため
歯の数や位置がアンバランスだと、噛む力の方向が偏り、
● 顔の歪み
● 顎の疲労
● 将来の歯の寿命の低下
を引き起こす可能性があります。
抜歯は、歯本来の役割を長く保つためにも必要なケースがあります。
抜歯後の体の中では何が起きている?
抜歯直後は、歯を支えていた部分に大きな空洞(抜歯窩)ができます。
体はその空洞を埋めようとするために血を集め、血餅(血の塊)をつくります。
この血餅が非常に重要です。
血餅は、
● 傷口をふさぐ
● 細菌の侵入を防ぐ
● 骨や歯ぐきが再生するための土台になる
といった役割をもっています。
この血餅が失われると、むき出しの骨に食べ物や空気が触れやすくなり、
強い痛みが出る「ドライソケット」という状態になることがあります。
そのため、抜歯後は血餅を守る行動がとても重要です。
抜歯後の痛みはどれくらい続く?
痛みのピークは一般的に
抜歯後24〜48時間
と言われています。
ただし、
● 抜歯の難易度
● 個人差
● 生活習慣
などによって前後することがあります。
通常は2〜3日で痛みが軽くなり、1週間ほどで落ち着きます。

抜歯後すぐにしてよいこと・控えるべきこと
ここでは現実的な生活の中で気をつけたいポイントをまとめます。
抜歯直後にしてよいこと
● ガーゼを軽く噛んで止血する
● ゆっくり帰宅する
● 水分をこまめに摂る
● いつも通りの姿勢で過ごす
抜歯直後に控えるべきこと
● 強いうがい
● 激しく口をゆすぐ
● 温かい飲み物・食事
● 飲酒
● 喫煙
● 運動
● 長時間の入浴
特に、強いうがいは血餅を剥がす原因になるため絶対に避けたい行為です。
抜歯後の食事で気をつけたいこと
抜歯後の食事は、とにかく
傷口に刺激を与えないこと
が大切です。
ここからは「何を食べてよいか」「どう食べるとよいか」を具体的に解説します。
抜歯直後におすすめの食事
抜歯当日は、柔らかくて冷たい、または常温の食事が最適です。
● ヨーグルト
● プリン
● 冷やしたスープ
● ゼリー
● バナナ
● 豆腐
これらは刺激が少なく、噛まなくても食べられます。
抜歯後1〜3日の食事
まだ強く噛むのは難しいため、次のような食事がおすすめです。
● おかゆ
● うどん(柔らかく煮る)
● 茶碗蒸し
● スクランブルエッグ
● 白身魚のほぐし煮
この時期は
傷口と反対側で噛むことがポイントです。

抜歯後1週間前後の食事
徐々に普段の食事に戻せますが、まだ硬いものは避けます。
● 煮物
● パスタ
● 柔らかめのご飯
● 焼かないハンバーグ
ただし、
● ナッツ
● 硬い肉
● せんべい
● カリカリのパン
などは避けましょう。
抜歯後に避けるべき食べ物
以下は血餅を壊したり、傷口を刺激する原因になります。
● ステーキなどの硬い肉
● 唐揚げや揚げ物
● ナッツ類
● ポップコーン
● 辛いもの
● 熱すぎる食べ物
● 粘着性のある食べ物(キャラメルなど)
また、小さな食べ物(ごま、ナッツのかけら)が傷口に入り込むと治りが悪くなる可能性があります。
食事中に気をつけるポイント
食べ物の内容以外にも、食べ方の工夫が重要です。
● 傷口とは反対側で噛む
● 大きく口を開けすぎない
● ゆっくり食べる
● 食後は優しくすすぐ程度にとどめる
これらを意識するだけで、治りが格段に良くなります。
抜歯後にやってはいけない行動と理由
無意識にやってしまいがちな行動が、抜歯後の回復を遅らせる原因になることがあります。
頬を強く膨らませる
傷口の圧が変わり、治癒が遅れることがあります。
タバコを吸う
血流が悪くなり、治りが大幅に遅くなります。
激しい運動
血流が良くなりすぎ、再出血の危険があります。
熱いシャワーや入浴
血管が広がり、痛みや出血が増えることがあります。
抜歯後の痛みの原因とセルフケア
痛みは自然な反応ですが、次のような原因で強く出ることがあります。
● 血餅が取れた
● 食べ物が入り込み炎症が起きた
● 歯ぐきの腫れ
● 歯の根が深かった場合
痛みを和らげるためのポイントは
● 処方された痛み止めを適切に使う
● 冷やしすぎない程度に頬を冷やす
● 傷口を触らない
● 規則正しい食事・睡眠を取る
それでも激痛が続く場合は早めの受診が安心です。
気になるドライソケットとは?
ドライソケットとは、血餅が剥がれて骨がむき出しになった状態です。
非常に強い痛みを伴います。
起こりやすい原因は、
● 強いすすぎ
● 喫煙
● 硬い食べ物を噛む
などです。
痛みが長引く場合は早めに相談しましょう。
抜歯後、矯正治療はいつ再開できる?
抜歯後は傷口が落ち着くまで数日~1週間ほど必要です。
その後、歯の移動を再開するのが一般的です。
抜歯後の治癒が進むことで
●スペースの確保
●歯の移動
●噛み合わせの調整
がスムーズに行えます。
抜歯後の歯磨きと口腔ケア
抜歯後でも口腔ケアは非常に重要です。
しかし、やり方には注意が必要です。
● 抜歯当日は傷口周辺を避ける
● 優しいブラッシングを続ける
● マウスウォッシュは刺激の少ないものを
● うがいは軽く、やりすぎない
清潔さを保ちながら、刺激を与えないようにすることがポイントです。
まとめ
矯正治療中の抜歯後は、治癒を妨げない“正しい過ごし方”が非常に重要です。
特に重要なのは以下のポイントです。
● 抜歯後は血餅を守ることが最優先
● 当日は柔らかく冷たい食事
● 数日は硬い・熱い・辛いものを避ける
● ストロー、強いうがい、喫煙はNG
● 食事は傷口と反対側でゆっくり
● 無理をしない生活リズムで過ごす
正しい知識を持って過ごすことで、抜歯後の痛みを最小限にし、矯正治療をスムーズに進めることができます。
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